| 中山千夏個展「和の歴史・私の歴史」
「絵の個展、一回、やってみたいの。今まで描いた自著の挿絵がいっぱいあるでしょ。あれで個展やったら、へんかなあ」。とある酒場で、和田誠さんにそう言った。一瞬フリーズしてから、「へんじゃない」と和田さんは言い、横で眠りかけていた矢吹申彦さんも「へんじゃない」と呟いた。これが発端。画廊は「そうだ、ピンポイント。あそこなら山下勇三が強い。あいつを会場調達係にしよう」和田さんは嬉しそうにそう言った。
数日後、勇三さんに会った。お世辞にせよ和田さんは、私の絵を誉めてくれたことがあるが・・・「勇三さんはきっと、やめとけ、と言うだろうけど」。そう言ったら、勇三さん、げらげら笑って「やめとけ」と言った。
ところが翌日、FAXを寄こした。「ピンポイントギャラリーの西須由紀オーナーは基本的にOKです。ただし、中山さんとお話をし、作品を拝見したうえで返事をさせて欲しい、そうです」。緊張して面接を受けた。幸いにもパスした。後日、西須さんは、アノ「過去のアイドル」と、面接した私と、別人だと思っていたことが判明した。つまり西須さんを暴挙に駆り立てたのは、ひとえに勇三さんへの信頼であったのだ。
古い線画ばかりじゃ淋しい、色のついたのも描け、と言ったのは勇三さんだ。『古事記』の挿絵は描いてないでしょ、描いてみたら、と妙案を出したのは和田さんだった。絵の具や筆のアドバイスもしてくれた
特に絵を学んだことはないし、長年、油彩や水彩を描いていない。グワッシュも初めて。恐る恐る一枚描いてみた。楽しい! 面白い! 2、3枚の予定が、もう10数点描いてしまった。まだまだ描きたい。二巨匠と相談して、これら新作をメインにすると決めた。おお、本格的ではないか!! そろそろ額を買ってこなくちゃ。そして、ああ、オープニング・パーティが楽しみだ!
白状すると、実はこのオープニング・パーティというのをやってみたくって、考えついたことなのです。ごめん。付き合って!
PROFILE
1948年熊本生まれ。1959年『がめつい奴』(芸術座)を始めとする舞台で子役として、以後、俳優、歌手、TVタレントとして活躍する。70年ごろから著作を発表し始める。77年、市民の政治参加をめざした政治団体「革新自由連合」の結成に参加、代表の一人となる。80年から参議院議員一期務める。現在は著作活動に専念するかたわら、死刑廃止運動など市民運動を続けている。著者は『新・古事記伝』『ヒットラーでも死刑にしないの?』『新・からだノート』『一語の辞典・おんな』『カネを乗りこえる』『古事記に聞く女系の木霊』他50数冊。趣味はスクーバダイビング。
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